この記事について
- 本記事は、筆者が自分で行ったデータ分析の結果をもとに、Claude Opus 5(Anthropic)を使って執筆しています。分析の設計・データの検証・数値の確認・記事の内容の判断はすべて筆者が行っています。
- 記事中の数値は、探索的分析の結果です。事前に検証項目を決めて行う確認的検証ではないため、「検証済みの結論」ではなく「次に確かめるべき仮説」として読んでください。
- 対象は2013年から2024年までの日本株です。過去にそうだったという記録であり、将来を保証するものではありません。
- 数値には売買コスト・税金が含まれていません。また金融業(銀行・証券・保険)は集計対象外です。詳しい前提と限界は記事の後半にまとめています。
- 投資判断はご自身の責任でお願いします。 特定の銘柄や手法を推奨するものではありません。
この記事の結論を先に
- 高配当株(利回り上位25%)は、この12年間、市場平均を年平均7.6pt上回っていた。
- しかも利回りを10段階に刻むと、上の段ほど成績が良い。偶然の切り方ではない。ただしいちばん上の段だけは、そこで頭打ちになる。
- ただし「小型株だから勝った」わけではなかった。プライム市場に限ってもむしろ強い。
- 問題は3つ。中央値は平均よりずっと低い、旨みは年々薄れている、少数銘柄で持つとばらつきに飲まれる。
- そして高配当の中でもいちばん利回りが高い一角は、3銘柄に1つが減配する。ここを外せるかどうかが勝負。
以下は、そこにたどり着くまでの記録です。専門用語はできるだけ噛み砕いて書きます。
1. 出発点:高配当は市場平均に勝っていた
まず調べたのは、いちばん素朴な問いです。
配当利回りの高い銘柄を持てば、市場平均より儲かるのか?
日本株を配当利回りの高さで4つのグループに分けました。利回りが低いほうからQ1・Q2・Q3・Q4です。Q4がいちばん高配当の25%、Q1がいちばん低配当の25%、Q2とQ3はその中間になります。この4つを、それぞれTOPIXと比べます。
比較は「配当込み」同士で行っています。 ここは大事な点です。
配当を出すと、その分だけ株価は下がります(権利落ち)。だから株価の値上がりだけで比べると、配当を出す会社ほど不利に見える。逆に、高配当株の側だけ配当を足してTOPIXには足さなければ、今度は高配当が不当に有利になります。
そこで、個別銘柄もTOPIXも、どちらも「値上がり+受け取った配当」で計算しています。 TOPIX側はTOPIX連動ETFを使い、そのETFが払った分配金を同じように足しています。どちらか片方だけが配当で下駄を履く、という状態にはなっていません。
条件はこう決めています。
- 対象:2013年から2024年までの12年分(各年に1回ずつ、計12回の勝負)
- 買う日:毎年7月1日(休場なら直後の営業日)
- 持つ期間:250営業日(約1年)
- 買い方:選んだ銘柄を全部同じ金額ずつ持ち、毎年組み直す
- リターン:両側とも配当込み(受け取った配当を足す。再投資はしない)
結果です。
| 利回りグループ | TOPIXとの差(12年平均) | 勝った年 |
|---|---|---|
| Q1(利回りが最も低い25%) | +1.44pt | 7/12 |
| Q2 | +3.21pt | 7/12 |
| Q3 | +5.08pt | 7/12 |
| Q4(利回りが最も高い25%) | +7.56pt | 9/12 |
Q4はTOPIXを年平均7.56pt上回り、12年のうち9年で勝っていました。
ここで目を引くのは、Q1からQ4へきれいに階段になっていることです。
- **Q1(低配当)**は+1.44pt。ほぼTOPIXと互角
- Q2 は+3.21pt、Q3 は+5.08pt。中間のグループも、利回りが高いほうがきちんと良い
- **Q4(高配当)**は+7.56pt。しかも勝った年の数だけQ1〜Q3(7/12)を上回り、9/12
大事なのは、Q4だけが飛び抜けているのではないということです。もしQ4だけ良くて他が横並びなら、「高配当の中の何か特殊な銘柄群がたまたま当たった」という説明が立ちます。でも実際はQ1→Q2→Q3→Q4と順番に良くなっている。利回りの高さそのものが、成績と結びついているように見えます。
偶然そうなったのなら、順序はもっとバラつくはずです。
2. その階段は、もっと細かく刻んでも崩れなかった
4分割で階段に見えても、それは区切り方がたまたま良かっただけかもしれません。そこで10分割して同じことをしました。
| 利回りの段 | TOPIXとの差 |
|---|---|
| D1(最も低い) | +0.23pt |
| D2 | +1.70pt |
| D3 | +2.01pt |
| D4 | +2.89pt |
| D5 | +4.82pt |
| D6 | +3.96pt |
| D7 | +5.57pt |
| D8 | +6.67pt |
| D9 | +7.73pt |
| D10(最も高い) | +7.66pt |
D1からD9まで、ほぼ一段ずつ上がっています。 途中D5とD6で0.85pt順序が入れ替わりますが、大きな流れは変わりません。
これは意味のある観察です。区切りの数を変えても傾向が保たれるということは、「たまたま4分割したらそう見えた」のではなく、利回りの高さと成績の良さが、そもそも連動しているということだからです。身長順に並んだ列に似ています。何人ごとに区切っても、後ろのグループのほうが背が高い。
ただし、最後の一段で階段は止まります。
D9が+7.73ptで、D10は+7.66pt。差はごくわずかですが、上がり続けてきた階段が、いちばん上でだけ伸びなくなる。ここまで一段ずつ律儀に上がってきただけに、この停止は目を引きます。
「利回りが高いほど良い」なら、最上段がいちばん良いはずです。そうなっていない。いちばん利回りの高い一角では、何か別のことが起きている——この記事の後半は、その正体を追う話になります。
3. 「小型株だから勝ったんでしょ」への回答
ここで、詳しい人ほど気になる点があります。
この検証では選んだ銘柄を全部同じ金額ずつ持ちますが、TOPIXは大きい会社ほど重く持つ指数です。組み方が違う。中小企業を同じ重さで持つ棚と、おまけ程度に持つ棚を比べているようなもので、この違いだけで差がついてしまう可能性があります。
実際、その気配はあります。利回りが最低のQ1でさえ、TOPIXを+1.44pt上回っている。高配当とは正反対の銘柄群まで勝っているのだから、勝ちの一部は配当と無関係な要因で生まれているはずです。
そこで、大企業だけに限定したらどうなるかを見ました。東証プライム市場の銘柄だけで同じ集計をします。小型株効果が主因なら、ここで差は縮むはずです。
| 市場区分 | 利回りグループ | TOPIXとの差 | 中央値 | 勝った銘柄の割合 |
|---|---|---|---|---|
| スタンダード | Q4 | +5.97pt | −0.89pt | 48.5% |
| プライム | Q4 | +8.67pt | +2.94pt | 56.1% |
| プライム | Q1 | +4.10pt | −3.98pt | 44.7% |
縮むどころか、広がりました。
プライム市場に限定したQ4は+8.67ptで、全市場をまぜた場合(+7.27pt)より良い。中央値も勝率も、スタンダードのQ4をはっきり上回っています。
つまり、小型株を拾ったから勝ったのではなく、大企業の高配当が勝っていた。「等ウェイトだから勝てただけ」という説明では、この結果は説明できません。
4. ここからが本題:平均という言葉の罠
ここまでは景気のいい話でした。ここから雲行きが変わります。
Q4の平均は+7.27pt(銘柄をすべてまとめて平均した値)。では、Q4に入った銘柄を1つ選んだとき、まん中あたりの成績はいくつか。
+0.85ptです。
平均の8分の1しかありません。しかもTOPIXに勝った銘柄は52.1%。ほぼコイン投げです。
なぜこんなことになるのか。答えは一部の大勝ち銘柄です。
100人が徒競走をして、99人が平凡なタイムで、1人だけ異常に速かったとします。平均タイムは速くなりますが、あなたが選んだ1人が速い保証はどこにもない。年収の平均と中央値が大きく違うのと同じ理屈です。
これが500銘柄と15銘柄の決定的な違いです。
- 500銘柄を持てば、大勝ち銘柄も自動的に含まれます。 平均の世界に住める
- 15銘柄しか選ばないなら、大勝ち銘柄を引ける確率は低い。 中央値の世界に住むことになる
私のように十数銘柄で運用するつもりなら、見るべき数字は+7.27ptではなく、+0.85ptです。
ただし救いもあります。プライム限定のQ4なら中央値は+2.94pt、勝率56.1%。数字がだいぶ良くなります。少数銘柄で持つなら、市場区分で絞る意味はここにあります。
5. もうひとつの警告:旨みは薄れている
12年を前半6年と後半6年に割ってみました。
| 期間 | Q4のTOPIX超過 |
|---|---|
| 前半6年(2013〜2018) | +11.87pt |
| 後半6年(2019〜2024) | +3.24pt |
4分の1近くまで縮んでいます。
+7.56ptという12年平均は、実質的に2010年代の遺産です。この数字を見て今から始めると、期待値を倍以上に見積もることになります。
理由は分かりません。この検証では原因まで踏み込めていない。ただ、高配当戦略が広く知られるようになった時期と重なることは指摘しておきます。うまい話が知れ渡れば、旨みが薄まるのは自然なことです。
いま高配当を始めるなら、想定すべきは3〜4pt。それでも悪くありませんが、8ptを期待して始めると失望します。
6. 15銘柄で持つと、どれくらいブレるのか
ここまでの話を、実際の運用の形に落としてみます。
Q4の銘柄ごとの成績のばらつき(標準偏差)は約39pt。15銘柄で組んだ場合、そのポートフォリオの成績が平均からどれだけずれうるかを計算すると、約10ptになります。
これは重い数字です。期待している超過リターン(7.3pt)より、ブレ幅(10pt)のほうが大きいのですから。
粗い計算ですが、単年度でTOPIXに負ける確率はこうなります。
- 全市場のQ4で15銘柄:約24%
- プライム限定のQ4で15銘柄:約20%
- 後半6年の水準(+3.24pt)で考えると:約38%
しかもこの計算には楽観が入っています。銘柄同士が同じ市場ショックで一緒に動くことを無視した近似なので、実際の負ける確率はこれより高くなります。
4年に1回、直近の水準で考えるなら3年に1回はTOPIXに負ける。 それを織り込めないなら、この戦略には向いていません。
7. 勝ちを取りに行くなら、まず外すべきもの
さて、ここまでで「高配当は勝てる、ただし条件つき」までは見えました。ではその中で、何を避けるべきか。
高配当銘柄の利回りが高い理由は、たいてい「配当が多いから」ではなく「株価が下がったから」です。利回りは「配当 ÷ 株価」なので、分母が縮めば数字は勝手に跳ね上がる。そして株価が下がっている理由が業績悪化なら、その配当自体がいずれ削られます。
これがよく言われる 利回りトラップ(配当利回りの罠)です。バーゲン品に見えて、実は値札を下げるだけの理由があった、という話。
そこで、減配をこう定義して数えました。
減配=前年より年間配当が10%を超えて減った
「1円でも減ったら」ではなく10%にしたのは、記念配当が乗った翌年に自然に下がるようなケースを拾ってしまうからです。
日本株全体で見ると、この意味での減配が起きる確率は12.10%。だいたい8銘柄に1つです。Q4全体では 20.44% と、明らかに高くなります。
※ここから先の減配率は、すべて2012年から2023年までの12年分について、各年の率を出してから平均した値です。
8. 核心:危険は「高配当の中のいちばん上」に固まっていた
Q4をひとかたまりで見れば20.44%。「やっぱり高配当は危ない」で終わりそうな数字です。
でも、Q4の中をさらに4分割してみました。上位25%の中の、さらに上位25%、というふうに。
| 利回りの帯 | 減配率 |
|---|---|
| Q4-a(いちばん高い) | 33.71% |
| Q4-b | 19.05% |
| Q4-c | 15.09% |
| Q4-d(Q4の中では低め) | 13.96% |
| (参考)全銘柄 | 12.10% |
見えてくる絵が、まったく変わります。
- Q4-a は3銘柄に1つが減配。 全銘柄平均の約2.8倍、Q4全体と比べても1.6倍以上
- 一方 Q4-d は13.96%。全銘柄より2ポイント弱高いだけ
「Q4全体で20.44%」という平均値は、33.71%と13.96%を混ぜてならしただけの数字でした。第4節とまったく同じ構造です。平均は正しい。でも平均のまま使うと、実際に踏む地雷の位置を見誤る。
そして、第2節で見た階段が最後の一段で止まった理由も、ここにあると考えられます。利回りを上げていけばリターンも上がっていくはずなのに、いちばん上でだけ伸びが止まる。その一角は、3銘柄に1つが減配する場所だったのです。高い利回りの見返りを、減配が食いつぶしている——そう読むと、二つの観察はきれいにつながります。
「前年に減配していない銘柄だけ」に絞っても傾向は同じでした(Q4-a 32.91%、Q4-d 13.33%)。すでに減配が始まっている銘柄が数字を吊り上げているわけではありません。
利回りが高すぎることは、買う理由ではなく調べる理由です。
9. もう一枚:その会社が去年どう振る舞ったか
利回りの高さのほかに、判断材料になりそうなものがあります。
高配当グループ(Q4)に絞ったうえで、直近1年の配当の動き(増配・据え置き・減配)と、同じ1年の株価の動き(上昇・下落)を掛け合わせ、翌年の減配率を見ました。
判定は単純です。配当は前年と比べて1円でも増えれば増配、1円でも減れば減配、まったく同じなら据え置き。株価は前年の同じ日と比べた騰落で、配当は含めません。
| 直近1年の配当 | 直近1年の株価 | 翌年の減配率 |
|---|---|---|
| 増配 | 上昇 | 21.43% |
| 増配 | 下落 | 31.46% |
| 据え置き | 上昇 | 9.71% |
| 据え置き | 下落 | 18.33% |
| 減配 | 上昇 | 16.04% |
| 減配 | 下落 | 38.20% |
比べる相手はQ4全体の20.44%です。
① 株価の下落は、どんな配当方針の銘柄でも危険度を1.5〜2.4倍にする。 増配していても、株価が下がっていれば21.43%→31.46%に跳ね上がります。「増配してるから大丈夫」は通用しない。
② いちばん安全なのは「据え置き+株価上昇」で9.71%。 Q4全体の半分以下、それどころか全銘柄平均の12.10%さえ下回ります。高配当なのに、市場全体より減配しにくい。 配当を増やしもせず減らしもせず、株価は上がっている。無理をしていない、という健全さがあるのかもしれません。
③ 減配した会社が翌年も減らすとは限らない。株価次第です。 「減配+株価上昇」は16.04%で、Q4全体よりむしろ低い。一度削って身の丈に合わせ、株価も評価しているなら、そこで止まる。一方「減配+株価下落」は38.20%で全区分の最悪です。
10. この数字、信じていいのか(頑健性チェック)
こういう分析でいちばん怖いのは、「発見」の正体がデータの不備だったというパターンです。今回いちばん心配したのは株式分割でした。
株が1株→10株に分割されると株価は1/10になります。もしデータ側でこの調整が漏れていれば、その銘柄は「株価が90%暴落し、配当も激減した」ように見える。これが混ざっていれば、前節の「株価が下がると減配が増える」は全部つくりものです。
そこで、調整漏れの疑いがある92銘柄(延べ444観測、高配当グループの6.6%)を全部除外して計算し直しました。
結果、株価の動き別に見た減配率の差は、減配の定義を変えても ±0.6ポイント以内。むしろ除外すると、株価が最も下がったグループの減配率は上がりました(29.02% → 29.47%)。傾向は分割の産物ではない。
揺すってみて崩れなかったので、この結果は使えると判断しています。
11. できなかったこと(ここは正直に書きます)
この記事の分析は 探索的分析 です。「仮説を検定した」のではなく、「地図を描いた」段階にあります。
当初は確認的検証をやるつもりでした。分析を始める前に「何をもって合格とするか」を文書で固定してしまう手続き──これを 事前登録 と呼びます。データをいじってから合格ラインを決めると、人はどうしても「うまくいった切り口」を後から選んでしまう。矢を射ってから、刺さったところに的を描くようなものです。だから的は先に描いて壁に貼っておく。
そのために統計的な検出力の計算まで済ませ(81.5%)、対象期間も12年に固定していました。しかし準備の最終段階で問題が見つかります。
- 財務データの最古が2021年7月で、配当性向・ROE・自己資本比率などが12年分そろわない
- 外部データ源から取得を試しても、財務諸表は直近4〜5期分しか取れなかった
つまり、検定にかけたかった指標のデータが、必要な年数分だけ物理的に存在しなかった。準備万端で的を貼ってから、矢がないと気づいたようなものです。
そこで方針を切り替え、手元にあるデータ(配当履歴・利回り実数値・株価)でできる範囲の探索に徹しました。
同じデータで探索して見つけたパターンを、同じデータで検定してはいけません。 それは矢を射ってから的を描く行為そのものだからです。今回の数字は、あくまで次の仮説をつくるための材料です。
そのほかの限界:
- TOPIXとの比較は、事前に検証すると決めていた問いではありません。 結果を見たあとに集計した参考値です。
- 対象を2013年からにしたのには理由があります。 ベンチマークに使ったTOPIX連動ETFの分配金記録が2013年7月以降しか存在せず、それ以前の4年分は「TOPIX側だけ配当を足していない」状態になってしまうためです。この4年を含めた16年で集計すると、Q4の超過リターンは+8.28ptとやや大きく出ます。ただし同じだけQ1も押し上げられる(+1.44pt→+2.09pt)ので、グループ間の比較そのものはほとんど影響を受けません。
- 売買コストと税金は含まれていません。 数百銘柄を毎年入れ替えれば、手数料とスリッページが効きます。7.56ptのうち手元にいくら残るかは確かめていません。
- 母集団は現時点で生存している銘柄が起点なので、期間中に上場廃止になった銘柄は構造的に含まれていません(生存者バイアス)。
- 対象ユニバースに金融業(銀行・証券・保険)が含まれていません。財務指標の計算方法が他業種と異なるためです。
- 「プライム/スタンダード」は東証の市場区分であり、時価総額そのものによる大型・小型の分類ではありません。
- 減配率の集計は2012〜2023年の12年分で、リターン検証(2013〜2024年の12年分)とは1年ずれています。
- 2020年の減配率が突出して高く(全銘柄30.17%、Q4 47.00%)、12年平均を押し上げています。コロナ禍の影響です。
- 6区分の集計では、前年の株価データが無い、または騰落がゼロちょうどだった127件を除外しています。
おわりに──次は「実際に持てる十数銘柄」に落とし込む
今回わかったことを、もう一度並べます。
- 高配当は市場平均に勝っていた。しかも利回りの順序どおりに。ただし最上段だけは頭打ち
- 小型株効果では説明できない。プライム限定のほうがむしろ強い
- ただし中央値は平均よりずっと低く、旨みは年々薄れ、少数銘柄ではブレに飲まれる
- そして高配当の中でも、いちばん上の一角だけは3銘柄に1つが減配する
ここまでは地図が描けました。でも地図は買い物リストではありません。今回の数字はすべて500〜600銘柄を等ウェイトで持つ棚の話で、私が実際にやりたいのは1,000万円程度で十数銘柄を持つ運用です。ここには大きな隔たりがあります。
次にやるのは、この隔たりを埋める作業です。
① 銘柄数が減ると、何が起きるか。 500銘柄の平均は、たとえQ4-aの地雷を踏んでも全体では埋もれます。でも15銘柄のうち1つが減配すれば、それは6.7%の打撃としてそのまま出る。分散が効かなくなると、平均の話は使えなくなります。
② どこで線を引くか。 「利回り○%以上を除外」と絶対値で切るのか、「その年の上位○%を除外」と相対順位で切るのか。絶対値は分かりやすい反面、金利や相場の水準が動くと基準がズレます。順位で切れば水準の変化に強い代わりに、今年は全体が安全なのに機械的に除外してしまうことが起こる。両方で試して比べます。
③ 除外しすぎていないか。 危ない銘柄を外すのは簡単で、極端な話「高配当を全部除外」すれば減配は激減します。でもそれでは意味がない。しかも十数銘柄しか持たないなら、候補が減りすぎるとそもそも組めなくなる。除外条件は必ず「安全になった分、どれだけ候補を失ったか」とセットで評価します。網の目を細かくすれば魚は逃げませんが、そもそも魚も入ってこない。
今回の結果からは、プライム市場 × 高配当 × 最上位帯を除外という組み合わせが、次に検証すべき仮説の第一候補として浮かんでいます。ただしこれは今回のデータを眺めて思いついたことなので、同じデータで検定してはいけません。別の期間・別のデータで、また的を先に貼ってから確かめます。
高配当は市場平均に勝てます。でもそれは、500銘柄を並べた棚の話です。十数銘柄で同じ果実を取りに行くにはどうすればいいか──次はそこを詰めていきます。
補足:この記事に出てきた用語
| 用語 | かんたんな説明 |
|---|---|
| 配当利回り | 年間配当 ÷ 株価。株価が下がるだけでも上がる |
| 減配 | 配当の引き下げ。ここでは「前年比10%超の減少」と定義 |
| 等ウェイト | 選んだ銘柄を全部同じ金額ずつ持つこと。TOPIXは大きい会社ほど重く持つ |
| pt / pp | %同士の差を表す単位。5%が11%になったら「6pt上昇」 |
| 四分位(Q1〜Q4) | 全体を4等分したグループ。Q4が最上位25% |
| 十分位(D1〜D10) | 全体を10等分したグループ |
| 中央値 | 順番に並べたときのまん中の値。平均と違い、極端な値に引っ張られない |
| 標準偏差 | 数字のばらつきの大きさ |
| 事前登録 | 分析前に「何をもって合格とするか」を文書で固定すること |
| 探索的分析 | パターンを見つける作業。仮説を作る段階 |
| 確認的検証 | 事前に決めた基準で仮説を検定する作業 |
| 生存者バイアス | 生き残ったものだけを見て、消えたものを数え落とす偏り |